商社は元来「必要な時に必要な分だけお届けする」ことをミッションとしていますが、これをワールドワイドで常時安定的に実現することは容易なことではありません。地域紛争や政情不安、天変地異による原材料の不足、景気動向など、安定供給を阻害するリスクは常に存在します。直近では世界的なパンデミックにより物流がストップという事態も経験しました。いかに安定的なサプライチェーンマネジメントを構築するかは、恒常的な課題です。
また、お客様が「必要とするもの」にも変化が生じています。ご承知の通り、自動車業界は、現在100年に一度と呼ばれる大転換期を迎えています。モノからサービスへ、所有から利用へ。CASEが標榜する「Connected:コネクティッド化」「Autonomous:自動運転化」「Shared/Service:シェア/サービス化」「Electric:電動化」。そしてICTを駆使してスマートな移動を実現するMaaSは、従来のモビリティの概念を破壊的に覆すとされています。「クルマがネットワーク端末化する?」。一昔前では考えられなかったことが、もはや現実のものとなりつつあり、実際、世界的なIT大手や家電大手が自動車業界に参入するなど、自動車業界の縮図は大きく塗り替えられようとしているのです。
ここで必要とされる要素技術は、高剛性化・軽量化に関わる骨格・素材に関するものからEV・PHV(プラグインハイブリッド)・FCV(燃料電池自動車)に関わる動力系、そして移動体をコネクテッドさせ制御するためのネットワークやその端末系などになります。新しいモビリティの創造に何が必要か、専門商社としての創造力が問われる局面と言えましょう。
現在、日本の全就業人口の8%(約542万人)が自動車関連と言われていますが、自動車業界が大転換期を迎える環境下、先行き不透明な状況であることは否めません。しかしながら、次世代自動車の普及(自動運転の実用化、新興国における販路拡大など)や環境対策(CO2削減)が進めば、引き続き日本や世界で自動車産業は基幹産業であり続けられる筈です。その為に、新しい技術に挑み続ける自動車業界では、様々な分野で多くの人材を必要とし続けています。我々も技術革新によって発展していく自動車業界を常に支えていく会社であり続たいと考えています。